さよなら、私の片思い
さよなら私の片思い
                      海月みつき


「ねえ、あんた達って付き合っていないの?」

 真紀はお気に入りのスイーツをつつきながら私に言った。

「え、ええ。付き合ってないよ。だって私たちってそういう感じじゃないし」
「ええー何言ってるの二人とも傍から見ても、とてもお似合いだと思うけどな。だってなんか玲奈と陽太君が話してる時って、二人っきりの空間って感じして誰も近寄れないもん」

 真紀の言葉に私も少し照れながら、そうかなってー自分の髪を触った。そう言われるのは慣れてはないけど、正直まんざらでもない。

「もう思い切ってこくっちゃえば? もしかしたらオーケーしてくれるかもよ」
「えー無理無理無理! 私可愛くないし、絶対オーケーしてくれないって」
「何言ってるの。玲奈は十分かわいいよ。もっと自分に自信持ちなよ」
「そんなこと言っても」

 私と陽太くんは中学校がない日も、時間が合う日は、外で二人でカラオケに行ったりショッピングをしたりよく出かける。でも、きっと彼は私の事をそんな風に思ってはいないだろう。

「ほんと、玲奈って悲観的過ぎ。もっと自分に自信を持ちなよ」
「自信か―」

 私だって、可愛いオシャレをできればもっと自分に自信を持てると思う、だけど私はファッションにも、メイクにも疎い。ネイルだって真紀に教えてもらって出来るようになったところだ。

「うん、じゃあさ告白は今じゃなくていいからさ。せめて電話に誘ってみればいいじゃん。それがいいよ。誘ってみ。誘ってみ」

 真紀は一人で納得して頷いた。でも電話に誘うだけでもかなり勇気がいる。

「陽太君の事好きなんでしょ。そうやってうじうじしたら誰かに取られちゃうよ」
「ううう……」

 それは嫌だ。陽太君は陽気なタイプじゃなく普段から無表情だけど、思ったことをなんでも口にするような人だけど、裏表がなく、男子にも女子にも人気がある。故にひそかにファンクラブができるくらいだ。
 今日の夜試しに誘ってみなよ。意外とあっさりオーケーしてもらえるかもよ」

 真紀はウィンクしてスイーツを食べきった。私たちは解散した後さっそく陽太君のラインを開いた。アイコンは相変わらずの高い所からの景色だ。高い所が好きだって彼は普段から言っている。
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