【短編】最強総長は隠れ狼姫を惑わしたい。
6.最高の男女
「来栖迅、あいつさえいなけりゃあ《氷龍》は俺のチームだったんだ」

 使われていないらしい倉庫に連れて来られ、聞いてもいないのに三谷は語り始めた。

「元々NO.2は俺だったんだ。順当にいけば俺が総長だったってのに!」

 怒りに満ちた様子で語られた内容は正直言って自業自得だった。


 前総長が卒業すると共に交代するとき、順当なら次の総長になるはずだったNO.2の三谷。

 でも彼はそのとき他校を拠点としているチームと個人的にやり合って問題になっていたらしい。

 元々血気盛んで人望も少なかった三谷はTOPとしての資質を疑われていた。

 そのため、次の総長には当時NO.3だった迅が選ばれたんだとか。


「あのクソ総長、迅の方が人望もあるし強いとかぬかしやがった。だからタイマンでのしてやろうとしたってのに……!」

 でも結果は三谷の惨敗。

 文句のつけようもなかった。


「っざけんなよ……何かズルしたに決まってる。俺より下のくせに強いとかありえねぇだろうが」

 別に、必ずしも強さで幹部の上下を決めているわけじゃないんだったらそういうこともあるだろうに……。


 迅がいなければ、なんて関係ないじゃない。

 三谷が総長になれなかったのは完全なる自業自得で、迅がいなくても三谷が選ばれることはなかっただろう。

 これはただの八つ当たりだ。
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