乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

【孤独なひまわり】

話は、5月30日頃であった。

またところ変わって、鴨部《かんべ》団地にある郁恵《いくえ》夫婦の家族が暮らしている家にて…

家に、Aコープから電話がかかって来た。

電話の応対は、友代《ともよ》がしていた。

「もしもし…拓司《たくじ》さんはいますかって?…20日頃から家を出たまま行方不明になっているのです…そうですか…中途採用はしません…分かりました…拓司《たくじ》さんが帰られたらお伝えしておきます。」

拓司《たくじ》は、Aコープの人から中途採用を断られた。

その後、松山市の三浦工業《みうらのほんしゃ》から電話がかかって来た。

三浦工業《みうらのほんしゃ》の人事《ひと》はやさしい声で『元気な顔でお待ちしてます…また一緒に働きましょう。』と言うてくださった。

友代《ともよ》は、うれしい顔で『よろしくお願いします。』と言うた。

拓司《たくじ》が三浦工業《みうら》に復職することが決まった…

友代《ともよ》たちは、拓司《たくじ》がいつでも帰って来ることができるようにと思ってアレコレ準備した。

しかし…

その喜びは、あっけなく壊れたようだ。

その翌日の午後であった。

富山市で交番勤務のおまわりさんが男に拳銃を奪われて殺された事件が発生した。

拳銃を奪っておまわりさんを殺した男は、拓司《たくじ》だった。

拓司《たくじ》はそれからすぐに一般市民の男性を撃ち殺した。

その末に、拓司《たくじ》は駆けつけてきた警察官たち20人に取り押さえられた。

その後、拓司《たくじ》は駆けつけてきた警察官たち20人から集団暴行を受けた末に、刃渡りのするどいナイフでズタズタに切り裂かれて殺された。

さらにそれから数日後であった。

房江《ふさえ》からしつようないじめを受けていた兼定《かねさだ》が東海道新幹線の車内で殺傷事件を起こしてケーサツに逮捕された。

この時、兼定《かねさだ》が激しく抵抗した。

兼定《かねさだ》は、駆けつけてきた警察官たち30人から集団暴行を受けたあと刃渡りのするどいナイフでズタズタに切り裂かれて殺された。

東日本で発生した2件の凶悪事件が原因で、三角家《みょうかけ》の家庭崩壊が始まった。
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