死者の世界に別れの絵
貴方はいつも大変だった。

とても辛くて苦しい思いをしてきた。

学校に友達なんて人間は居ない。

暇さえあれば虐められる。

貴方が虐められ、家に帰ってくれば働かされる。

くたくたになった夜、ふかふかのベッドで寝れるなんて嬉しい事は無い。

床で寝かされる、そんな生活を送る貴方の毎日は地獄の様だった。

親は貴方など要らなかった。

貴方の事を今すぐにでも殺したいだろう。貴方は殺して欲しかった。

自殺したって良い。

だが、自殺する前にやりたい事があった。

それは、絵を描く事。

「絵を描いた事の無い人間は居るのかな」

ふと浮かび上がってきた疑問。

だが、貴方にはもう、どうでも良い事だった。貴方は誰も居ない公園の芝生に座り込んだ。

そして、紙と鉛筆と色鉛筆を取り出して……描いた。

貴方が自分の心臓を刃物で刺し、血が出た所を。

貴方が自殺した絵を……。
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