一期一会。−2−
彩羽は、復讐なんて望んでいないだろうから。

静かに眠る彩羽を眺めているうちに、不意に涙が出てきて。

ポタ、と頬を伝ったソレは地面に落ちていく。

それと同時に。

必死に耐えてきたものまでも、一気に崩れ落ちた。


「…壮太さん?」


気付いたら、言葉が溢れていた。


『…ごめん、彩羽…っ。

 あの時、手離して…ごめんな…』


苦しい中をどうにか生きて、それでも俺に出会ってくれた。


『…守れなくて、ごめん…っ。

 …守ってくれて、ありがとう…っ』



どうか、もう一度。


…いや、何回でも。


目を覚まして、“お兄ちゃん”と、呼んでほしい。


死なないで、…戻ってきてくれよ。




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