一期一会。−2−
「…彩羽は、頑張ったんですね」

白鷺由宇は、やるせなさそうに笑って、俺を見ていた。

唯一、俺と彩羽が兄妹だと分かった奴。

その瞳は、穏やかで悲しげだった。

『…あぁ』

そうだ。

頑張って、頑張って、今の彩羽が出来上がった。

…命さえも、惜しまないようにまで。

どれだけの覚悟して俺の側にいたか、痛いくらいに実感する。



…もう、これからは無理させないからな。



「起きるのを、待ちましょう」

来宮時雨は、優しく微笑んだ。


彩羽が、明るく笑えるようになったのも、誰かを信じられるようになったのも、コイツらのおかげ。

…本当、彩羽の人を魅了する力も大したもんだよな。

可愛くて、最強の、…自慢の妹だ。


…なぁ、彩羽。


俺を大好きでいてくれて、ありがとう。


これからは、自分のことも、大切にして生きてくれよ。
 

お前の命は、もう、お前だけじゃなく、皆が大切に想ってんだからー…。


早い目覚めを祈りながら、眠る少女を見つめた。








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