一期一会。−2−
てか、野垂れ死ぬって…、どんだけ不摂生
なの?

(葵の印象がヤバい奴化していく)

とにかく、いくら止められようと、
折れるわけにはいかないのだ。

見舞いに家まで来て、ノコノコ帰るなんて
ありえない。

そこまで薄情じゃないからね、私。

葵にビシッとそれっぽいことを叩きつけて
黙らせる。

根も葉もない言いがかりだけど、
気にしないでおく。

熱もあるみたいだし、口も回らないでしょ。

病人は大人しくしときなさい。

ガサゴソと袋の中身を探って、お粥の材料を取り出して、クッキングスタート。

自炊には慣れてるもんね。

いつもは自分用だけだけど、今日は
初めて誰かのために作る。

案外楽しいね、手料理ふるまうの。

今度は別の人にも作ってあげよう…。

他の人が作った料理って、何でか美味しく
感じるんだよね。

さっさと調理をしていく中、葵がどこか
ぼんやりとした口調で尋ねてきた。

「料理、上手だね」

当然の質問だと思う。



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