一期一会。−2−

7【崇拝者・前編】:由宇side

ウチの有功は真面目ではあるが、真面目ゆえに、たまに怖く感じる。

「はぁ…、“王蝶”って、どうしてあれほど
 お強いのでしょうか…」

夜の街をぶらつきながら、話していた。

有功は、俺と同じくらい喧嘩好きで、同時に酷く“王蝶”と呼ばれる、この街の伝説に憧れている。

口を開けば、説教か“王蝶”。

他に語彙をもっているのかが謎なくらい。

…まぁ、俺は既にその“王蝶”の正体を知っているんだけど。

「きっと、男らしくて勇ましい方なんて
 しょうね…」

俺も前までは、そんなことを予想をしていた気がする。

けど、残念。
 
実物は、現在高1の美少女なのだ。

見た目だけじゃ、とても信じられない。

正体を隠すのも無理ないと思う。

ビフォーアフターに出せるんじゃねぇか?

そうとは知らず、妄想に浸る有功を哀れみの目で見ていた。

現実を知ったときの顔が見てぇわ。

予想を覆す展開に、衝撃を受けずにはいられないだろう。



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