貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「凛々彩」



ベルトゥスが真っ直ぐと私を見る。

微笑むようなタイミングではないと思って,私はこくんと飲み込んだ。



「凛々彩が拐われたのは,俺が尾行に気付けなかったせいなんだ」



もう今さらよ,と口にしようとして,やめる。

ベルトゥスの言葉は,まだ終わっていなかった。



「次は約束を違えない。南がどんな状況であろうと,凛々彩でも西でも駆けつけて護ってやる」



次はないと強く宣言するベルトゥス。

自分の土地への愛が強いベルトゥスが,南が危険でもと口にするには大きな覚悟があるはずで。

戸惑った私は,それでも。

最初に危険が及ぶのは西だと知っている事もあって,頷いた。



「……1度だけ,1度だけ助けて,ベルトゥス。それが過ぎたら,もうせめて私に悪いとは思わないでね」



ベルトゥスはぐっと噛み締める。

抱き締められる……と直感したものの,蘭華がはたき落として。

結果ベルトゥスは私の右手にキスをした。

驚いて固まる。

島の,西の人間にこんな行動をとる人はいない。



「償いは,必ず。だが,もし寂しく思うことがあれば……俺の横はいつも空けとくから」



そう,私,ベルトゥスのプロポーズを……



「ベル…」

「ベルトゥス·ボーン。俺の出番はまだですかーー?????」



鼻を摘まんだわざとらしい高音。

その主は,一気に私達の注目を集めた。
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