貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「ははっ。それは困ったな。でも,好きにしたらいい。決定権は僕にあるんだから」



おかしそうに,蘭華が私の髪を撫でる。

せっかく纏めていたのに,ほんの少しだけ崩れてしまった。



「それは違うわ,蘭華」



むにゅっと蘭華のほっぺを両手で潰す。

キッチンの男が動いたのが,サムが青ざめながらひえっと言ったのが分かった。

大丈夫よ,サム。

私はサムを一瞥して,蘭華に向き合う。



「お屋敷の皆,に。トップのあなたがいないわけがないでしょう?」

「ふふっあはははは! ふはっふくく…はは」



蘭華は目に涙が溜まる程笑って,驚いた私は蘭華に添えた手を離そうとした。

その片方の手を蘭華は掴まえて,微笑みと共に自分の頬を寄せる。

ドキリとしていると蘭華が



「凛々彩に触れるな」



固く重たい声で,私の後ろを睨みながらそう言った。

目だけで振り返ると,私の肩を掴もうとしている大きな男がいる。

髪の毛の無い,つるつるな頭。

それが斜め後ろに下がった。



「僕は大丈夫。ね?」

それとも何か? 言いたいことでもあるの。



何かを言い募ろうとしたその男が,蘭華の瞳の圧だけに負ける。

私が蘭華を見上げると,蘭華はまたふっと表情を緩めた。



「僕も? それは楽しみだ」



愉快そうな蘭華を,悔しい私はキッと睨んだ。
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