貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「美味しそうだね,アンナ。僕のも用意してくれる? 凛々彩のが冷めちゃう前に」

「はいはい。分かりましたよ。悪いね,サム。凛々彩の分をよろしく頼むよ」

「はい。お任せください。俺は食堂で貰います」



蘭華が動く。

そしてサムが言うなり,私の朝食はサムの手に渡る。



「あの,サムっ? それどうするの?」

「どうするって……蘭華さん,蘭華さんのお部屋で良いんですよね。メインの部屋でいいですか?」

「うん。問題ない。凛々彩にも案内してあげて。じゃあ,またあとでね,凛々彩」



最後に蘭華はふりふりと片手を振った。

行きましょう,とサムが私を窺うようにして言う。

戸惑っている間に,襖は私の背中で閉められた。

お盆に乗せたカレーを真っ直ぐに持って,サムがとんとんと歩いていく。

私はその隣に並んだ。



「いつもなら襖をノックするだけで声が返ってくるのに,全く気配がないから。凄くびっくりしました」

「うっ…ごめんなさい」

「蘭華さん,蘭華さんも心配してましたよ。いつもならもう少し寝ているのに,今日は何故か起きていらして。報告した途端,追い付けない速度で……」




キッチンの襖を力一杯開いた蘭華を思い出す。

確かによく鍛えている蘭華が息を乱すのは珍しい気がした。
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