貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!



「……蘭華,寝るんでしょ?」

「うん」




気が進まないように私を手離して,蘭華は横を向く。

その頭をさらりと撫でて,そっと口を開いた。



「……~♪」



こうだったかな,そう思い返しながら目を瞑り,メロディーを紡ぐ。

メロディーしかしらないから,それを小さく奏でるしかないけれど。

それでも何度か耳にした曲。

愛着も懐かしさもあった。

蘭華は直ぐに寝付くタイプでもない。

だから,これなら子守唄の様にしても怒られないだろうと自信のあるものを口ずさんだだけだった。

のに。

蘭華は勢いよく身体を起こして,信じられないものでも見るように私の手首を捕らえる。

その目は,一瞬にして冷めた恐ろしいものに変わった。

なん,なの……?

動揺を隠し,無理やり敵意に変え。

冷静になれと自身を律する,誰一人寄せ付けない瞳。

私は一体,何を間違えたの……?



「ねぇ,凛々彩。1度しか聞かないから,嘘付かずに答えてね? 1つでも偽れば,殺すから」



本気。

取引の優位も,何もかもどうでもよくなる程。

その質問の答えが重要なんだと知る。

私の前じゃ,もう呑気に寝られない。

蘭華は,私の奥に誰かを睨み付けて。

刃物のような言葉を突きつけた。



「怯えてなくていい。凛々彩,今の曲の最後のメロディー,分かる?」



いいから歌え。

その瞳の訴えに,私は震える喉を開いて聞かせた。

もしかして……この歌に,何かあるの?
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