干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

新しい仕事

「と、友野さん。外線入ってるよ。MMコーポレーションの笹野課長から……」

「え?」

 後ろから滝山に声をかけられ、美琴は慌てて振り返る。


 今は次の営業先に行くべく、副社長とリストの確認をしている所だった。

「どうしたんでしょうか……?」

 美琴は、リストをパタンと閉じると、副社長と目を合わせた。


 ――エントランス装飾に、何かあったんだったら嫌だな。


 MMコーポレーションの装飾は、納品以降すでに何度かメンテナンスにスタッフが入っている。

その報告では、グリーンの状態は“葉が落ちることもなく良好”という内容だった。


「お電話変わりました。友野です……」

 美琴は、急いでデスクに向かい受話器を取り上げると、少し緊張気味に声を出す。

「あ! 美琴ちゃん? 良かったー。会社にいてくれて」

 笹野課長の声は、美琴の不安を一気に吹き飛ばすかのように明るかった。
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