干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「それで、笹野課長は電話で何と?」

 移動の車の中で、副社長がハンドルを握りながら声を出した。

「それが、うちにとって『すごく()い話』としか言わなくて。急ぎで副社長と一緒に来て欲しい、詳しくは会ってから話すって……。何でしょうか?」

 美琴は何度も首をひねった。


「まぁでも、期待して良いってことでしょう」

 副社長はチラッと美琴を見た後、前を向いたまま笑顔になる。

「はい!」

 美琴は大きく頷いた。


 エレベーターを降り、美琴は副社長と共にMMコーポレーションのエントランスに入った。

 すぐに花瓶の中の、鉢植えの状態を確認する。

「葉の色つやも良いですし、問題なさそうですね。シダの葉が伸びてるので今度カットするようにメンテに伝えます」

 手帳にメモを取りながら話す美琴の姿を見て、副社長がふふっと笑った。
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