干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「このまま二人にしといて良いのか?」

「何が……?」

「雅也のあの様子じゃ、たぶん本気だぜ。いろいろと……」

「知るかよ……」

 手元の資料を机の上に投げつけると、俊介は吐き捨てる様に言った。


 ――たぶん本気……か。


 俊介は顔を上げて大きな会場の天井を見つめる。

 モヤモヤとした天井はまるで霞がかっているようだ。


 ――まるで今の俺みたいだな……。


 自分はどうしたいのかと心に問いかけるが、考えはまとまらなかった。


「ちょっと出てくる……」

 俊介は伝えるでもなくそうつぶやくと、会場の休憩スペースに向かって歩き出した。


「あーあ……。せっかく殻から出てきたと思ってたのにな」

 俊介の後ろ姿を見ながら、健太はまた大きなため息をついた。
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