干物のミカタ ～副社長！ 今日から私はあなたの味方です！～

「あ、東さん……。大丈夫ですかね？！」

　事の成り行きを静かに見守っていた滝山が、おろおろと不安そうな様子で近づいて来た。

「さあね。俺にも何がなんだか……。まあ、美琴ちゃんが裏切るはずはないと思うけど……」

　そう答えながら首を振る健太の肩を、突然部長が後ろからガシッと掴む。


「へ？！」

　あまりの力の強さに健太が後ろによろめいて、顔を上げると部長が鬼の形相を近づけてきた。

　その顔つきに、健太は一瞬狼狽(うろた)える。


「東くーん。もしかして……もしかしてなんだけど。……干物と副社長って……」


「え？　え？　そ、そうなんですか？！　うひゃぁー」


　どう受け取ったら良いのかわからない部長の表情と、浮かれてはしゃぐ滝山の顔に詰め寄られ、健太は冷や汗をかきながら両手をあげた。


「ボクハ……ナニモ、知りましぇーん……」