干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「でも俺だったら……美琴ちゃんにそんな事言わせないんだけどな。ちょっと悔しいな」

「え……」

 夜の車道は車のライトが幾つも重なって、美琴の心にまで絡みつくようだった。


 ふいに雅也の手が、膝に置いた美琴の指にそっと触れる。

「俺はいつだって美琴ちゃんの所に飛んで行くよ……今日みたいに」

「で、でも、私は……」

 美琴は慌てて自分の手を引っ込めようとする。

 雅也は逆に美琴の手をぎゅっと力を込めて握った。


「次のプレゼンは全力で奪いに行くつもりだよ。美琴ちゃんも何があっても逃げないで。後ろ向きなんて美琴ちゃんらしくないでしょ?」

 雅也はにっこりとほほ笑むと、パッと手を離した。


 美琴はまた、ハンドルを握る雅也の長い指をじっと見つめる。


 ――きっとこの人はいつだって私を励ましてくれる。あのSNSの写真みたいに……。
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