干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「今回の装飾のテーマは、ずばり“森”です。映画の予告を見たりしてあらすじを知っている方、もしくは全く知らない方に向けて、この映画がどんな世界観か一目で伝えるには、やはり森の装飾が一番と考えました」

 滝山がパソコンを操作して、各部位が拡大されたスライドを写す。

 最初に映し出されたのは、真ん中のブナの木だった。

「まず一番のシンボルとなる真ん中に、アーシャの母親代わりであるブナの木を配置します。これはパネルをくり抜き、パネルの間から半分だけ見せることで壁面の立体感も表現しました」

 次にブロック分けしたものを数点表示させる。

「壁面はご覧の様にブロック分けをして、それぞれを違った内容で装飾します。ポイントとなるのはこのコウモリランの装飾で、皆さんもお分かりかと思いますが、これは森のシカを表現しています」

 美琴は一旦言葉を切り、会場内を見回した。


「いやぁ、確かにシカの角に見えるな」

「ずいぶんと不思議な植物ですね」

 小さな声は美琴の耳にも聞こえてきた。


「次にこちらは森の精霊を表現した部分です」

 美琴は次のスライドの説明に移る。
< 225 / 435 >

この作品をシェア

pagetop