干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「本日はお忙しい中、お集まり頂きありがとうございます」

 イベント会社の担当者の挨拶で会は始まった。

 今回は二社のプレゼンを、イベント会社と映画の広報担当者が聞いた後、その場でどちらの会社に装飾を依頼するかが決まる。

 勝つも負けるもチャンスは今日しかない。


「それでは最初に、グリーンデザインインターナショナル様よりお願いいたします」

「はい」

 司会から声がかかり、美琴は返事をする。

 そして一旦目を閉じてふうっと息を吐いた。

 再び目を開けて隣を見ると、副社長が優しい瞳で頷いている。

 美琴は副社長に頷き返した後、滝山と共に席を立った。


「グリーンデザインインターナショナルの友野と申します。今回の映画イベントの壁面装飾として、我が社が提案させていただくのはこちらのデザインになります」

 美琴の合図で、滝山がデザイン画のスライドを表示させる。


 その画像が画面に大きく映し出された途端、会場内から声が上がった。


 ――第一印象は良さそう。


 美琴は滝山に目を合わせて合図を送った。
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