干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「水上さんが、SNSの人だったからです……」

「え? 何?」

「私がずっと前から憧れていたSNSの人が、水上さんだったって知ったからなんです」

 東は首を傾げているが、副社長は「それって」と口を開いた。


「前に話していた、いつかお礼を言いたいっていうSNSの人ですか?」

「はい……。私はずっとその人に励ましてもらってきた。だからSNSの人が……水上さんが苦しい顔をしているのを放っておけなくて。でも、今気がつきました」

 副社長が顔を上げて美琴を見つめる。

「言葉だけにとらわれて、ちゃんと向き合えてなかった……」


 その時、副社長のスマートフォンが鳴った。

「社長から呼び出しだ……」

 低くつぶやいたその言葉に、美琴は顔を青ざめさせる。


「もう、社長まで……?」

「そうですね。たぶんこのメールの一番の目的は社長の耳に入れる事。社員に拡散するのは事を大きくするためでしょう……」

 副社長はそう言うと美琴の顔を見つめ、膝の上で小さく震えだす美琴の手にそっと触れる。

 美琴の目には、今にもこぼれそうな程の涙が溢れてくる。
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