干物のミカタ ～副社長！ 今日から私はあなたの味方です！～

「皆さんに、報告することがあります……」

　三人は固唾を飲んで、副社長の次の言葉を待つ。

　すると下を向いていた部長が、肩を震わせながら「ぶっ」と小さな声を漏らした。


「へ？」

「ぶ、部長？！」

　美琴が首を傾げながら副社長に向き直ると、副社長は優しくほほ笑んでいた。


「副社長……？」

「プロジェクトが正式に、緑化事業部として立ち上がることになりました。泥船の汚名返上です」

　にっこりとほほ笑む副社長の顔に、一瞬時が止まったような静けさが部屋を包む。


「そ、それって」

「社長に認められたってことですか？！」

　次の瞬間、「わぁっ」と声を上げながら、東が副社長に抱きついた。

　副社長はよろめきながらも、東を笑顔で受け止める。


「おいおい。東くーん。そこは干物の場所でしょ」

　部長は笑ってそう言いながらも、自分も副社長と東の肩を組むように抱きついた。

「ぼ、僕も！」

　滝山が遅れて、抱き合う三人に突進する。


「よかった。本当によかった……」

　美琴はそんなみんなの様子を、目を潤ませながら見つめていた。