干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
鷺沼(さぎぬま)造園さんのことは、お前も存じ上げているだろう。庭園事業はもちろん、植物の卸等に関しても大変な影響力をお持ちだ。我々の業界では、鷺沼さんの右に出るものはいないとも言われるほど」

 父の言葉に、鷺沼社長は大きな声を立てて笑った。

「いやいや。それ程でもありませんよ」

「何をおっしゃいますか!」

 父は大げさに驚いてみせる。


「俊介。実は緑化事業部が請け負っている展示会のメインスペースは、今までずっと鷺沼造園さんが担当されていたそうなんだ。ご縁があって今回、鷺沼さんからお声かけ頂いてな」

 父は俊介に、(さと)すような視線を向けている。

 鷺沼社長が再び明るい笑い声を立てる。


「グリーンデザインさんの事は、噂で聞いていたんですよ。緑化事業に関しては、今やトータルグリーンに並ぶ存在。実はうちとトータルは、ライバル関係にありましてな」

 鷺沼社長は、チラッと視線を俊介の隣に座る父に向ける。

「聞けばグリーンデザインさんも、トータルに汚い手を使われ、一時は危うかったとか……。あそこは昔から良い噂を聞かない。きっと息子の代になっても、永遠に変わらないでしょうな」
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