干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
副社長室には、珍しく俊介の姿があった。
スーツの上着を脱ぎ、ワイシャツにベスト姿で渋い顔をしながら、デスクの上の書類を一つ一つ確認している。
健太は俊介が印を押した書類をまとめながら、横からそっと顔を覗き込んだ。
「その後、どうなってんの? 鷺沼のお嬢さんとは」
遠慮がちに健太は声をかける。
「どうもなってない。こっちからは一切連絡してないからな」
顔も上げずに答える俊介に、健太は驚いて目を丸くした。
「え?! 二週間、返事をほったらかしってこと?!」
「返事も何も、俺は見合いだなんて聞いてない……」
「そんなのが通用する相手かよ! 社内じゃ、もうすぐ婚約だって話になってるぞ……」
「は?!」
俊介はぴたりと手を止めると、健太の顔を見上げる。
「誰がそんな事言ってるんだ」
「もう社内中の噂になってるよ。知らないのは俊介、お前だけだ」
俊介は思わず額に手を当てた。
社長の側で動いていた自分には、社員達の噂話が耳に入ってくることはない。
――もっと気をつけておくべきだった……。
俊介はそう思いながら、はたと顔を上げる。
「……じゃあ、美琴も知ってるってことか?!」
スーツの上着を脱ぎ、ワイシャツにベスト姿で渋い顔をしながら、デスクの上の書類を一つ一つ確認している。
健太は俊介が印を押した書類をまとめながら、横からそっと顔を覗き込んだ。
「その後、どうなってんの? 鷺沼のお嬢さんとは」
遠慮がちに健太は声をかける。
「どうもなってない。こっちからは一切連絡してないからな」
顔も上げずに答える俊介に、健太は驚いて目を丸くした。
「え?! 二週間、返事をほったらかしってこと?!」
「返事も何も、俺は見合いだなんて聞いてない……」
「そんなのが通用する相手かよ! 社内じゃ、もうすぐ婚約だって話になってるぞ……」
「は?!」
俊介はぴたりと手を止めると、健太の顔を見上げる。
「誰がそんな事言ってるんだ」
「もう社内中の噂になってるよ。知らないのは俊介、お前だけだ」
俊介は思わず額に手を当てた。
社長の側で動いていた自分には、社員達の噂話が耳に入ってくることはない。
――もっと気をつけておくべきだった……。
俊介はそう思いながら、はたと顔を上げる。
「……じゃあ、美琴も知ってるってことか?!」