プリズムアイ


彼女の瞳は不思議な色をしていた。黒色の瞳の中に、ちらちらと柔らかい黄色や黄緑、ピンクなどの蛍光色が光の加減で写りこんでいた。瞳の中にオパールが存在するような、見たことのない瞳。この後の仕事が手につかないことくらいわかりきっている激情をおさえつけながら、午後の商談相手のもとに向かった。

彼女が配属され、同じ空間にいる。
実際指導にあたるのは、俺の後輩の美司だった。
同性の方がなにかと話しやすいだろうということへの配慮だったのだろう。
実際、的確な存在だと納得する一方、理不尽にも僕が教えるほうがと不満も募った。

彼女は真面目なので指導要綱などを自分で作成し、フジタさんに熱心に指導していた。
しかし明らかに温度差というものがあり、彼女はノートをとっているがどこか身になっていないような印象を受けた。現在は配属から二か月ほどたっており、実践にむけての最終調整をしているのだという。
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