プリズムアイ
ぴきー---。

私の背中の血管がびくびくと浮かび上がった。そして千切れそうなほど強く背中に刺すように蠢いている。

テレビで見た寄生虫を思い出す。寄生虫でいい思いもしたが、もっと生きたい。石を拾ったことも後悔していない。



肩甲骨から脱臼するように身が一気に引きはがされそうになる。あまりの痛さに絶叫する。



<先輩、あ、あああ生きたいあああああ!!!!ああああ>



ピーーーピーーーーピーーー。



<た、藤田さん!?藤田さん!?>





皮肉にも彼と重なり合うように、身体からなにかが動き出した衝撃で倒れた。

遠くで叫んでいる美司先輩の声が聞こえた。

最後に見たのは、プリズムの輝きで。身体がぶちぶちワイシャツを引きちぎるような音が聞こえた。



テレビで見たようなプリズムの化け物はみることがなかった。

音もない真っ暗闇な世界に落ちていった。
< 28 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop