プリズムアイ

2



美司から連絡がきたのは夕方十八時頃だった。送られてきたURLはいつもの居酒屋とは違った個人経営の焼肉だった。明日、美司は有給なので、好き放題食べ、好き放題呑むだろうなと予想できた。

同じく退社し、藤田さんと別れた。彼女は駅までと誘ってくれたが、今日は先約の美司がいたのでなくなく断念した。
彼女はまた明日と帰っていった。
その姿を名残惜しくも見届けた後、美司がいる店に入った。
彼女はもう既にきていて、気づくと手を挙げて「こっち」と呼んだ。

「おつかれさまーなに呑みます?」

メニュー表を広げる前に、「生で」という。
店員を呼んで美司が好きに頼んでいく。二人が呑むとき、いつだって美司が頼んでそれを好きに食べるといったものだった。おまかせセットとキムチやナムルの盛り合わせを頼む。

お互いに生ジョッキで乾杯した。
彼女はぐびぐびと喉を鳴らし、呑み切ったあとおっさんのような声をあげた。
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