あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 デミグラスハンバーグで、目玉焼きが乗っていて、鉄板で運ばれてくるからアツアツで食べることが出来る。
 ご飯の量は少なめで、ポテトサラダがついている。

 頂きますと手を合わせて食べ始めた聖龍とヒカル。

 食べながら聖龍が会話を進めてくれて、ヒカルが受け身で聞いている感じ。


 自然と会話が弾んで、ちょっと頑なだったヒカルも笑みがこぼれて来た。


 
 食事が終わり店を出る頃には、21時を回っていた。

 駅前はまだ人通りが多く賑わっている。

「今日は初めてのデートだね」
 
 ギュッとヒカルの手を握って来た聖龍が言った。

 デートなんて言われると、恥ずかしく照れてしまうヒカル。
 そんなヒカルを見ていると聖龍は幸せを感じる。


 聖龍とヒカルが手を繋いで歩いてくると。

 前方からガラの悪そうな男が3人歩いて来た。

 聖龍もヒカルも特に男達を気にしないで、歩いていた。

 すると。

「おい! 」

 突然、どすの聞いた声で男の一人が声をかけて来た。

 何事かと驚いて、聖龍とヒカルが立ち止まると、威圧的な顔をして3人の男が立ちふさがった。

「お前、城原ヒカルだな? 」
「どちら様ですか? 」

 いかつい顔をした男が、圧的にヒカルに歩み寄って来た。

「お前、俺の女に酷い事をしてくれたそうだな? 」
「どなたの事を言っているのですか? 」
「しらばっくれるな! 千堂里奈、お前の同僚だろう? 」
「千堂さんですか? 確かに同僚ですが、特に何もしておりませんが? 」

 チッッと舌打ちをした男は、いかつい顔をヒカルに近づけて来た。

「ばっくれてんじゃねぇよ! ネタは上がってんだよ! 」
 
 と、言いながら男はヒカルの襟首を掴んできた。

「ちょっと、何をするんですか? 」

 聖龍がヒカルを庇うと、男はギロっと聖龍を睨みつけた。

「なんだ? テメー! 余計な口出ししてんじゃねぇぞこらぁ! 」

 ヒカルを乱暴に振り払うと、男は聖龍の襟首を掴んできた。
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