あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「テメーも里菜に酷い事をした一人か? 」
「はぁ? 俺は何もしていませんよ、寧ろやられたのは俺の方ですから」
「なんだと? 」
グイッと、聖龍の襟首を締め上げて男は拳を握りしめた。
「テメーからやってやろうか? 」
拳を振り上げ、男は聖龍に殴りかかって来た。
が…。
ドサッ!
一瞬にして、男は地面に背負い投げされてしまった。
「あ、兄貴! 」
「て、テメー! 」
後ろにいた2人の男が、同時に聖龍に向かって行った。
しかし。
ひょいと交わされてしまい、あっという間に2人の男が倒されてしまった。
「くっ…。て、テメー…。ふざけやがって! 」
痛みをこらえて男が立ち上がると、聖龍は余裕の笑みを浮かべた。
「まだやりますか? 」
余裕の笑みを浮かべている聖龍に、男は怯んだ顔を浮かべた。
「俺は別に構わないですよ。喧嘩なら、得意なんで」
「なんだと? 」
怒りを露に男は聖龍に殴りかかってゆくが、全て交わされてしまった。
かすりもしないまま、男は息が上がって苦しそうな顔になってしまった。
「もう終わりですか? 」
くッと悔しそうに男は聖龍を睨みつけた。
「あれ? もしかして、聖龍さんですか? 」
ふと、声がして振り向くと、そこにはビシッとした黒いスーツ姿のやくざ風の男が子分を連れて立っていた。
「やっぱり聖龍さん、お久しぶりです」
「おお、久しぶりだね。元気か? 」
「はい、おかげさまで商売も繁盛しています」
「そうか、それは何よりだね」
聖龍を睨みつけていた男は、やくざ風の男を見ると顔が真っ青になった。
「あ、兄貴。あの人、ここら一体を仕切っている組長ですよ」
「なんで、あんなに親し気にしているんですか? 」
「しるかよ、俺に聞かれても」
やくざ風の男は、ヒソヒソ話している男達をギロっと見た。
「なんだお前達、まさか聖龍さんにちょっかいかけてんじゃねぇだろうな? 」
「い、いえ」
「とんでもないです」
「何もしていないです」
本当か? と、やくざ風の男が睨むと、さっきまで粋がっていた男達はまるで蛇に睨まれた蛙のように小さくなってしまった。
「お前達、聖龍さんは昔からの俺の親友だ。かつては、命を助けてもらった事もある恩人だ。聖龍さんに手を出したら、お前達全員海に沈めてやるぞ! 」
すっかり3人の男達はビビッてしまい真っ青な顔をしている。
遠くからパトカーのサイレン音が聞こえて来た。
遠くから警察官が駆けてくる姿が見えてきた。
「おや? お迎えのようですね、俺達はお先に失礼しますね」
ニコッと笑って聖龍は、ヒカルの手を引いて去って行った。
やくざ風の男も子分を連れて去って行った。