あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 聖龍に似た感じのスラっとしたイケメンだが、とても綺麗な顔立ちでまるでどこかの国の皇子様のような気品あふれる男子生徒。
 この男子生徒は宗田凛太朗。
 バスケ部に入っていて、かなり人気が高い男子生徒である。
 聖龍の双子の兄弟で兄貴になる。

 凛太朗に呼ばれてヒカルは立ち止まって振り向いた。

「神原さん、ちょっと話があるんだけど」
「私に? 話ってなに? 」

 ヒカルの傍で立ち止まった凜太郎は、真剣な眼差しで見つめてきた。

「神原さん…。僕と、付き合って下さい」
「はぁ? 」
「僕、ずっと神原さんを見ていたから」
「見ていた? 私がデブだから? 」
「違うよ。だって、神原さんって毎日楽しそうなんだもん。みんなが嫌がる掃除だって、引き受けているし。何を言われても、いつも笑っているから」
「うーん…。そうしていた方が楽だからだけど」
「僕、そんな神原さんが好きなんだ。付き合って下さい」

 真剣な目をして告白して来た凛太朗。

 遠目で見ていた聖龍は驚いた目をしていたが、そのままそっと立ち去った。

「ごめんなさい。私なんか、付き合う対象ではないから」
「え? どうして? 」
「だって、こんな体形だし。一緒にいたら、恥ずかしいだけだし。笑われてしまうから」
「何を言っているの? 神原さんのどこがいけないって言うの? 」

 一瞬だけヒカルの目が潤んだ…。
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