あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

「とにかく私なんかが無理だから。他にいい人見つけてね」

 それだけ言うとヒカルは走り去っていった。

「ちょっと…」

 走り去るヒカルを追いかけたくても凛太朗は追いかけることが出来なかった。


 デブと言われるヒカルに告白した凜太郎の気持ちは真剣だった。
 走り去るヒカルを見ながら諦めないと決めた凛太朗。

 しかし凛太朗はその日の夜。
 駅前の歩道橋から転落して亡くなってしまった。

 金奈高校は悲しみに包まれてしまいデブに告白した呪いだと言う生徒も多くいた。

 だが。
 凛太朗が亡くなって以来、ヒカルを見たものは誰もいなかった。

 学校にも来なくなり退学したと噂に聞いたが、詳しい事は誰も分からなかった。

 聖龍は双子の兄が転落死してかなりショックを受けていたが、それと同じくらいヒカルがいなくなった事を心配していた。


 あんなに酷に事を言われても笑っていたヒカルがいなくなり、金奈高校も何となく寂しさに包まれていたような気がする。


 どこに行ったんだろう?
 どうしているのかな?
 
 聖龍はずっとヒカルの事が忘れられずにいた… …。


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