あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
「…これだけは言っておく。…私は、お前の事をずっと愛してきた。お父さんには、随分と世話になり私を庇ってくれた恩は一生忘れる事はできない。きっとどこかで、お父さんが私のせいで死んでしまったと。そう思われていても、仕方がないと思っている。お前を引き取ったのは、お前の事が可愛かったからだ。この子を、幸せにしてあげたい。その為なら、私の命だって差し出しても構わないと思った。だから、申し訳ないなんてもう思わないでほしい…。お父さんには負けるが、私もお前の事を愛している一人であることを忘れないでほしい」
きっとヒカルは頭では理解している。
しかし気持ちがついてゆかないようだ。
「後から、着替えを届ける。体には十分気をつけなさい。無理をしてはいけないよ」
それだけ言うと、幸樹は車に乗り込んだ。
ヒカルは幸樹を見ないようにしていた。
車が走り去る音が聞こえて、ヒカルは複雑そうな顔を浮かべていた。
「城原さん、とりあえず今夜は我が家に来てくれるかな? 」
「…分かりました。…」
正直、ヒカル自身もなぜこんな事を言ってしまったのか。
何故このタイミングでこんな事をしてしまったのか、自分でも分かっていなかった。
ただ言える事は幸樹の元を離れなくてはならない…そう思ったと言う事だけだった。
宗田家。
駅から徒歩で15分、車だと10分以内で行ける住宅地の離れた場所にお屋敷のような洋館を建てている。
門構えがお城のよなオシャレなデザインで、門から玄関までは車で5分程度。
お抱え運転手がいて送り迎えをしてくれている。
玄関は引き戸で、綺麗な天使の絵が描かれている。
玄関を入るとお城のような雰囲気が漂い、靴を脱いで入るとラセン階段が2階へと続いている。
ラセン階段を通り過ぎて奥へ進むと、爽やかなサロンと呼ぶにふさわしいリビングとキッチンがある。
リビングにはグランドピアノが置いてあり、窓際に綺麗な観葉植物が置いてある。
カーテンは爽やかなブルーで、日差しが強い時は少し厚手の白いカーテンが敷いてある。
天井からはオシャレなシャンデリアが吊るされ、壁際には大きなテレビとサイドボード。
サイドボードの上には家族写真が飾ってある。