あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 写真は全裸のヒカルが、複数の男達にご奉仕している場面や、首に首輪をつけられ男達に淫らな行為をされている場面や、顔に男達から噴射されている場面が写っている。
 表題には「ゲイパーティー」等と書かれていて、どうやら男達が集まり淫らな行為を楽しむ場所のようだ。
 動画にも同じよな場面で、実際に行為しているシーンや声までがリアルに映し出されている。
 
 やって来た聖龍は集まっている社員達をかき分けて、受付前までやって来た。

「あ、副社長おはようございます」
 受け付け嬢がやって来た。
「副社長、これはどうゆう事なのでしょうか? 今朝出勤してきたらこんなものが張り出されていたのです。写真の日付は昨夜のようで、動画も昨夜録画されているようです」

 聖龍はショックよりも怒りが込みあがって来た。
 
 ツカツカと歩み寄り、貼りだされている写真をはぎ取り、動画を止めた。

「あら、副社長。もう見てしまったのですか? 城原さんの本当の姿を」

 笑いながら里菜がやって来た。

 お前がやったのか? と、聖龍は里菜を睨みつけた。

「まぁ、副社長。そんな怖い目で見ないで下さいよ。私、副社長の婚約者として誘惑した城原さんの本性を知ってもらおうと思って。こんなものが、受け付けに貼りだされているなんて。城原さん、よほど誰かに恨みでも買っているのではありませんか? 」
 
 明らかに里菜がやったのだろうと聖龍は感じ取った。
 しかしすっかり居直っている姿を見ると、腸が煮えくり返りそうなくらいの怒りが込みあがったが、ここで爆発しても他の社員達が驚くだけだろうと思いあえて感情を押さえた。


「これを初めに見つけたのは、千堂さんですか? 」
「ええ、そうよ。私が来た時は、まだ誰もいなかったものですから」
「それなら何故、警察に連絡をしないですか? 」
「え? どうして警察に? 」
「考えてみれば分かると思います。こんな大勢の目に触れる場所に、相応しくないものが張りだされている。しかも、個人を明らかに中傷している内容です。それを見ておきながら、警察に通報する事もなく。あえて晒されるように放置しておくのは、どうかと思います」
「放置なんてしていませんよ、勝手に触ってはいけないって思っただけです」

 込みあがる怒りを治めるため、聖龍は一息ついた。

 
 すると、エントラスから奏弥とヒカルが歩いてくるのが目に入った。

「社長! 大変です」

 集まっていた社員の一人が、奏弥に駆け寄り状況を話した。

 
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