本当の声。
文芸部が廃止になったことを入学式の部活説明会で荒野美雪(あらのみゆき)は初めて知った。高校で入ろうと決めていたのに。
皆が部活見学へと行く中、美雪は玄関へと足を進める。文芸部がないのなら部活動をする意味は無い。

「あ!そこの子!ちょっと待って!」

そう声が聞こえた時、周りには誰もいなくて美雪は嫌な予感がした。遠くから発声練習が聞こえてくる。野球部だろうか。
恐る恐る振り向いてみると、見知らぬ男子生徒が笑顔でたっていた。ネクタイの色から上級生だとわかる。部活勧誘だろうか。どの部活にも入らないけれど。

「なんでしょう」
「君、部活入る気ある?」

きた。断ろう。

「いいえ。入る気ないです。」
キッパリというこれで諦めるだろう。
ところがその男子生徒は笑う。それからまるでピクニックにでも行くみたいに口を開いた。

「帰宅部入らない?」

変な先輩に絡まれた。帰宅部って何?そもそも部活なの?

「すいません、急いでいるので」

そう言って玄関を出る。最悪だ、色々と最悪だ。


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