婚約者の浮気相手が子を授かったので
「くそ、くそ、くそ」
 異臭を放つ薬草を布の袋にいれながら、クラウスは悪態をつくことしかできない。
(なぜだ……、何が悪かったんだ……)
 クラウスにはそれがわからない。
(いや、僕は悪くない……)
 最後の薬草をぼふっと乱暴に袋にいれ、足で袋を押さえつけながら縛り上げる。
「お前たち。これを運んでおいてくれ」
 クラウスは怒りに任せて、袋に薬草を詰め込む作業を行っていた。気が付けば十数個の布の袋が大きく膨れ上がっていた。
 作業に使った手袋も臣下に投げつけ工場から出ると、クラウスは急いでアデラの元へと向かった。
 アデラは妊娠の安定期に入ったところで、気分が良ければクラウスと庭園を散歩することもあった。
 アデラの部屋へと向かうクラウス。彼らの私室のあるこちらの場所には、入口に護衛が立っており、王族以外の者は立ち入ることができない。クラウスについていた護衛もこの場で控えの間に下がる。
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