【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「先生。私、こちらの文化についても学びたいのです。そういったことが学べるような本がありましたら、後で紹介してください」
「ああ、この屋敷にも書庫があるし、これから案内するところにもあるから、好きな方を利用するといい」
「ありがとうございます」
 エルランドとお茶の時間を楽しんだファンヌは、彼に屋敷の中をざっと案内してもらい、それから使用人も紹介してもらった。
 その後、屋敷を出て他の場所へと向かうのだが、どうやらその先にエルランドの家族が住んでいるらしい。
 だが、その先が近づくにつれ、ファンヌの顔は曇り始める。
「先生」
 半歩前を歩くエルランドを呼んだ。
「なんだ」
 彼は歩調を緩め、ファンヌの隣に並ぶ。
「この先に見えるのは、王宮なのですが」
 Lの字の建物の外壁はキャラメル色。東側には尖塔が建っている。どうやら礼拝堂になっているらしい。またLの角の部分は物見の塔となっており、他よりも一際高く黒い屋根が目立っていた。
「ああ。両親はそこにいる」
「え」
 ファンヌは思わず立ち止まってしまった。だからエルランドも「どうした?」と立ち止まる。
「先生……。質問です」
 ファンヌは右手を胸の高さまで上げた。質問があるときは手をあげましょう、という学校の教えが身体に沁みついているためだ。
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