ビター・マリッジ
ベッドライトの暗い暖色の灯りの下。幸人さんの切れ長の目が僅かに開かれたような気がしたけれど、彼の感情まではわからない。
唇を固く結んで睨む私のことを、幸人さんは無感動にじっと見ていた。
冷静に私の行動を観察している幸人さんに対して、ますます悔しさが募る。
私が突然こんなふうに行動を起こしても、幸人さんは顔色ひとつ変えない。私が何をしたって、幸人さんの感情は動かせない。
幸人さんの手から文庫本を取り上げてサイドボードに置くと、彼の両肩をつかんで強く押す。
私の行動を様子見でもしているのか、体格のずっと大きい幸人さんの身体は簡単にベッドに仰向けに倒れた。
無言で私を見上げてくる幸人さんを睨むと、半ばやけくそ気味に、緩く閉じられた彼の唇に唇をのせる。
何度か軽く触れ合わせたあとにゆっくりと顔をあげると、幸人さんが私を見上げて、ふっと息を漏らした。
冷笑とも取れる幸人さんの笑い方に、胸がチクリと痛む。
傷付いた顔を見せないように唇を噛むと、幸人さんが右手を伸ばして、その指先で私の頬をそっと撫でた。