とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。

 それからライオネル様は、毎日お見舞いの品を手にして学院の帰りに寄ってくれるようになった。

 この日ライオネル様は手土産だと新鮮で栄養価の高いフルーツを持ってきてくれた。よく見るとこの国ではなかなか手に入らない、東方のフルーツもある。

 通常では注文してから届くまで一週間はかかるものだ。その代わり味もとろけるような果肉も極上だ。
 後で料理長にすりつぶしてジュースにしてもらおう。

「ハーミリア、昨日はすまなかった。君が体調を崩したと聞いて、慌ててしまったのだ」
「…………」

 ゆっくりと顔を左右に振って、気にしてないとライオネル様に伝える。
 よく見るとライオネル様は見慣れないイヤーカフをつけていた。

 あまり装飾品を好まない方なのに珍しい。もしかしたら誰かからのプレゼントだろうか?
 胸の内がチリチリと嫉妬の炎に焼かれる。

 たった一日学院に行かなかっただけで、ライオネル様に擦り寄る女性の影が見えた。
 一刻も早く治して、ライオネル様のそばにいなければ。
 そうしないと、わたくしの居場所などあっという間になくなってしまう。だけどなにをやっても歯の痛みは消えなかった。


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