とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。
「……ジ、ジークだ……」
「乳母兄弟のジークですか?」
「うん、僕がハーミリアの前だと気持ちが昂ってなにも話せなくなるから、ジークに通信機でこっそり助けてもらっていたんだ」
「…………」
なるほど、ライオネル様がスラスラとお話ししていたバックにはジークがいたのなら納得だ。するとライオネル様が、あの時を思い出したのか瞳を潤ませて縋ってきた。
「すまないっ! どうしてもハーミリアに捨てられたくなくて、あの時は必死だったんだ!」
「もう、そんなことしなくてもわたくしの気持ちは変わりませんのよ。でも……ふふっ、嬉しいですわ」
「ああ、ハーミリアはなんて心が広いんだ! さすが僕の女神だっ!!」
こうして平和にランチの時間が終わった。周りの視線が生温かったのはきっと気のせいだと思う。
そして帰りの馬車の中もライオネル様はラブラブバカップルを目指すべく、努力を惜しまなかった。
「ライオネル様、帰りの馬車の中はもうよろしいのではないかしら?」
「なにがだ?」
「その、ラブラブバカップルに向けての努力は、学院の中だけで十分ではございませんか?」
わたくしは今、ライオネル様の膝の上に横向きで座らされている。ガッチリと腰を掴まれて、身動きが取れない。