BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 だが、本当にこのような傷痕を受け入れてくれるような男性が現れるのだろうか、という思いは少なくともある。自信は、無い。けど、現れなかったら現れなかったでもいいや、とさえ思えてくる。

「そうか……」
 と呟くクラレンスはどこか寂しそうにも見えた。

「あ。ですが。私がこうやってこちらでいつまでも休んでいたら、その、クラレンス様の侍女としてのお仕事ができませんね」

 そう。実はジーニアはこの部屋に押し込められてから、かれこれ二月(ふたつき)が経っていた。最初は傷の痛みで動くこともできなかったが、徐々に動けるように行動範囲が広がっていく。それでもまだ、彼付きの侍女として仕事をこなせるところにまではいたっていない。ただ、この王宮内をちょろちょろと動き回ることしかできないのだ。

「私がシリルに黙って休める場を作ってくれれば、それだけでいい」

「そうですか?」
 ジーニアは首を傾げて尋ねれば、クラレンスも「そうだ」と答える。

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