BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――え、これをクラレンス様に? いや、ダメだって。

 ジーニアは思わずその報告書を隠すかのように、手元に引き寄せる。もちろん、怪訝そうな顔をするのはクラレンス。

「ジーニア嬢……?」

「ダメ。ダメです。こ、これは他の人には見せられません。ね、お兄さま?」

「え? あ? はぁ? 俺に振るな」
 ジェレミーは逃げた。

「ジーニア嬢。君がかけられた呪い。もはや君一人の問題ではないだろう。私を庇って君がそれを受けたのだ。私にもその呪いの解き方を知る権利があると思うのだが?」

 ――け、権利などありません。
 と言いたいジーニアだが、クラレンスに対してそのような言葉を言えるはずもなく。

「ジーン。どちらにしろこれは、お前一人で解決できる問題ではないだろう? 少なくても協力者が必要だ。ここは、クラレンス殿下に判断してもらった方がいいのではないか? その、協力者を……」

 ――お兄さまったら、人に丸投げしてきたわ。

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