BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――うっ……。思い出しただけでも、胸が苦しい。

 胸を押さえこむようにしてダンゴムシのように身体を丸めたジーニアは、第三のシナリオの内容を必死で思い出す。

 クラレンスが亡くなってしまった原因、それはジュードの解毒剤と解呪方法の解読が間に合わなかったからだ。しかもこれ、同時に行う必要があるという難易度の高いものらしい(ジュード談)。

 相手は一国の王太子という立場にある人間。そんな彼を失ってしまい、それに携わっていたのがジュードという男であれば、その後、彼に待ち受けている仕打ちなど目に見えている。
 それでも王宮魔導士団団長というジュードの立場というものが助けてくれているのか、表立って誰も彼を攻めようとはしなかった。それでも突き刺さるような視線から、ジュード自身も何かしら感じとれるものはあったのだろう。

 クラレンスが亡くなってしまったのはジュードのせいである、誰もがそう思っている、と――。

 ジュードはその思いに頭を悩ませ始め、次第に研究室へと引きこもるようになる。さらに荒れ狂い、自暴自棄になっていき、最終的には王宮魔導士を辞めると言い出す始末。
 それでもジュードが優秀な魔導士に変わりはなく、国として彼に辞められてしまっては困るわけで。さらに旅に出るとか言い出して、他国へと渡ってしまったらもっと困るわけで。

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