BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 バシュッと何かが飛んでくる音が聞こえた。
「……あっ」
「ジーン」
「おいっ」
「あそこだ。追え」

 ばだばたと人が動き出す音がする。ジーニアの視界は次第にぼやけてきて、その人たちの足音しか聞こえてこない。

「ジーン。おい、ジーン、しっかりしろ」
「知り合いか?」
「妹です」

 ジェレミーとクラレンスのそんなやり取りも、ジーニアの耳になんとなく届いてくるだけ。だがジーニアは、背中がじんじんと痛み、さらに痺れが全身へと回っていくような感じがして、頭の中もぼんやりとしてきて。

「おい、ジーン。しっかりしろ、ジーン」

 最後に耳に届いたのは、ジェレミーの声だった。

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