BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ジーニアの行動範囲が広がったのは、それから二日後のこと。この部屋の中であればやっと自由に歩き回ることができるくらい、回復したのだ。だが、部屋から出るのは難しい。よたよたと傷を庇うような歩き方をしてしまうから。

 そんなとき、やっとジェレミーが妹に会いにきてくれた。
「おい、ジーン。具合はどうだ?」

「お兄さま」

 豪勢な寝台の上にたくさんの本が並べられているのは、クラレンスが「飽きないように」と適当な本を持ってきてくれたためで、ジーニアは今、その本に埋もれながら寝台の上に座っている。

「おいおい、すごいな。いつからそんなに勉強熱心になったのかな?」

 恐らく寝台の上に並んでいる、ではなく散らかっている本を見て、ジェレミーはそう思ったのだろう。彼女の寝台の脇にある椅子にゆっくりと腰を押し付けながら、久しぶりに顔を合わせる妹に視線を向けた。

「思っていたより、元気そうで安心したよ」

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