BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「私も、お兄さまにお会いできて嬉しいです……」
 ジーニアがにっこりと微笑めば、ジェレミーもにっこりと笑う。
「ところで、あの。お父さまとお母さまは?」

「ああ、二人ともとても心配していたけれど、殿下がわざわざ来てくださったみたいで。二人とも、驚きながらも喜んでいたよ」

 ちょっと待て、とジーニアは心の中で呟いた。殿下というのは、もちろん――。

「あの、もしかして。わざわざクラレンス様がお出でになられたのですか?」

「そう、そうそうそうそう、そうなんだよ。クラレンス殿下がわざわざ来てくださったんだ」

「なんで?」

「それは俺が聞きたいくらいだよ」
 ジェレミーは寝台の上の本の一冊を手にする。
「お前、何を読んでるんだ?」
 妹が読んでいる本の中身に興味を持ったのか、パラパラと確認する。
「なんでお前が薬草学の本を読んでいるんだよ……」

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