BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「ちっ、仕方ない。報告書で我慢してやる。だが、私が個人的にジーニア嬢から話を聞くというのであれば、問題は無いな?」

「そうですね。あの事件の事情聴取ではなく、個人的な話であれば問題ありません。ですが、捜査に影響が出るような行動は慎んでくださいね。こう見えてもこの妹、意外と繊細なのですから」
 うんうん、とジェレミーの言葉に同調してジーニアは首を縦に振る。つまりそれは、余計なことは聞かないで、という意思表示なのだが、それがこのクラレンスに伝わったかどうかはわからない。

「じゃ、ジーン。俺は騎士団の方に戻る。恐らく、数日以内にあの件について話を聞きにくると思うが。まあ、そんなに身構えないで覚えていることをただ話してくれるだけでいいから」

「お兄さまが担当されるのですか?」

「恐らく。まあ、身内ということもあるが、お前に尋問するわけじゃないからな。とにかく覚えていることを話してくれるだけでいい。他にも誰か人が来るかもしれないけど、本当に構える必要はないんだ」
 そこでジェレミーは腰を浮かした。
「とりあえず今はまだ、ゆっくり休んでおけよ」
 ジーニアの頭をくしゃりと撫でたジェレミーは部屋を出て行った。久しぶりに兄と会って言葉を交わしたことで、ジーニアもいつもの自分を取り戻したような、そんな感覚だった。
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