BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
そう思えば、自然と撫でる手が優しくなる。そして、どうやらクラレンスは眠ってしまったようだ。撫でる手を止め、ジーニアは近くにあった本を一冊手に取った。しばらくの間、この場から動くのは難しいだろう。だったら、本でも読んで時間を潰そう、というのがジーニアの考えだった。
本というのは、当たりと思えるような出会いがあるからやめられない。そしてジーニアが今読んでいる本は、まさしく当たりの本だったのだ。クラレンスが適当に持ってきた本ではあるが、その適当の中に紛れ込んでいた当たり本。彼女は夢中になってそれを読み、どっぷりと本の世界へと旅立っていた時、部屋の扉を叩く音で現実へと引き戻された。
「はい」
クラレンスを起こさないようにと気を遣いながら返事をすれば、扉の向こうから現れたのはシリル。
「ジーニア嬢。お休みのところ、申し訳ありません。クラレンス殿下の姿が見えなくて、こうして探しております。殿下の行き先に心当たりはありませんでしょうか」
そこでジーニアはしぃっと、右手の人差し指を口元の前で立てた。
「クラレンス様はこちらでお休みになられております。起こしてしまうと可哀そうですので、お静かにお願いします」
ジーニアが指し示すこちらに視線を向けたシリルも、思わず目を見開く。
本というのは、当たりと思えるような出会いがあるからやめられない。そしてジーニアが今読んでいる本は、まさしく当たりの本だったのだ。クラレンスが適当に持ってきた本ではあるが、その適当の中に紛れ込んでいた当たり本。彼女は夢中になってそれを読み、どっぷりと本の世界へと旅立っていた時、部屋の扉を叩く音で現実へと引き戻された。
「はい」
クラレンスを起こさないようにと気を遣いながら返事をすれば、扉の向こうから現れたのはシリル。
「ジーニア嬢。お休みのところ、申し訳ありません。クラレンス殿下の姿が見えなくて、こうして探しております。殿下の行き先に心当たりはありませんでしょうか」
そこでジーニアはしぃっと、右手の人差し指を口元の前で立てた。
「クラレンス様はこちらでお休みになられております。起こしてしまうと可哀そうですので、お静かにお願いします」
ジーニアが指し示すこちらに視線を向けたシリルも、思わず目を見開く。