BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――な、何。今の。言葉がなくても通じ合っちゃう、的な?

 ジーニアの心の中は暴走し始めた。何が始まるのかという不安と期待と。

「実はな、このグレアム。あの事件のあと、婚約が解消された」

「は?」

「どうやら、ああいった事件に巻き込まれたこと、あの事件を事前に防ぐことができなかったことを。その、相手がだな、よく思わなかったらしくてな……」

 ――え、そんな理由で?

「つまり。危険なことに巻き込まれたくない、っていうのが相手の思いなんだろうな。俺たち騎士団の仕事なんて、常に危険と隣り合わせだっつうの」
 恐らく最後の荒れた言葉は、ジェレミーの心の中を表しているのだろう。たったそれだけの理由で婚約が解消されてしまったことに。

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