私が元カレにしたささやかな復讐
(何で待ってくれへんだんやろ……。電車の中で「ジュース買いたい」って話してたし、普通は待ってくれるんじゃないん?)

モヤモヤしたこの気持ちを口にしようか迷ったものの、ヤーサーに嫌われるのが怖くて結局言えなかった。

ドリンクなしで二時間近くある映画は後半は辛かった。だけど、それを言うことはできず私は「映画面白かった〜!」とヤーサーに笑いかけることしかできなかった。

一度違和感を感じ始めると、ヤーサーの様々な行動が気になり始め、好感度が徐々に下がっていくようになった。

例えば、どこかへ食べに行った際に注文した料理を運んできてくれた店員さんにお礼を言わなかったり、食べている時に膝をついて犬食いしていたり、話しかけている時にスマホを触っていたり、ちょっとしたことがマイナスな意味で気になり始める。

その頃から、私はヤーサーのことを恋人でありながら「気持ち悪い」と思うようになっていた。

高校は自転車とバスで通っていて、うちの高校はバス通の生徒がほとんどだった。レティシアもイザベラもヤーサーも同じバスに乗って毎日通学していたんだけど、その瞬間でさえ怖いと思うようになった。
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