エリートSPと偽装婚約~守って、甘やかして、閉じこめて~
パーティーまでは時間が無いということで、次の日にはブランドショップに連れて行ってもらう。ずらりと並ぶ高級ドレスが眩しい。

慧さんはここでも常連なのか、厳かに出迎えられ、店のマネージャーだという人がそれは丁寧に挨拶をしていった。

そしてわたしは店員さんと慧さんにもてはやされ、目まぐるしいファッションショーを繰り広げた。

「色白なので、どのお色もとてもよく映えますね」

「そうだな、だか子供っぽすぎないようにしたい。俺はいいが、彼女が気にするからね」

二人の応酬にわたしはついていけない。
交互に顔を確認するだけだ。

「でしたら、藍染めのこちらのお色などどうでしょう。色は控えめですが深みがあります。コサージュをたくさんあしらえたような立体的なフラワードレスですが派手過ぎず、お連れ様の清楚な雰囲気にぴったりですわ」

「そうだな……本来ならばフルオーダーにしたいが、時間がないから仕方ないか……肩の露出を少し抑えたい。アレンジにはどのくらいの日数が必要だ?」

「仰せの期日でお仕立ていたします。お任せ下さい」

店員がうやうやしく頭をさげる。

でも慧さんは全然偉そうでもなくて、手慣れた様子でスマートに注文をする姿にまた惚れ直した。

その後も、バッグに靴に美容室の予約。
シンデレラになった気分だった。



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