占い師はイケメン総長に愛される🌙.*˚
「一翔くん、あの、これは……」

 別に一翔くんと付き合っているわけではない。それに浮気とかじゃないから焦る必要もないはずなんだけれど、焦る。何故かとても焦る。

「俺ら、そういうことだから!」

 はっ? 和哉くんは何を言ってるの?

「そういうことって……違う、違うから!」
「そうなんだ、おめでとう。相田さん、もう、ここに来ないで!」

 一翔くんはそう言って後ろを向き、姿を消した。
 せっかく名前で呼んでくれるようになったのに、苗字に戻ってる。和哉くんとは付き合っていないし、弱みを握られてデートしただけ。

 でも、断れる強い気持ちがあれば、正直に一翔くんに全てを打ち明けていたのなら、こんな結果にはならなかったのかもしれない。

 ――一翔くん、本当に違うの! 私は、和哉くんじゃなくて、一翔くんが好き。一翔くんと恋人になりたいの!

 心の中でだけなら、何度も何度もそう叫べるのに。
 
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